路線価のついていない土地を無道路地として評価~知って納得! 土地評価の話~

相続税に関連する不動産の評価について、実例を交えてご説明している本シリーズ。今回の事例は、路線価のついていない土地の評価です。

お父様を亡くされ、財産を相続することになった東京都にお住まいのS様。自己申告を検討していたのですが、路線価の浮いていない遊休土地があり判定が難しかったため、土地の評価額の算定をご依頼いただきました。

上図の甲土地が該当の土地です。行き止まり私道であるA道路に接しているため、原則として路線価がついていませんので、一般的には「特定路線価」を設定し評価します。
しかし念のため、区役所の道路管理課、建築指導課で調査してみたところ、A道路は建築基準法上の道路ではないことがわかりました。さらにS様への聞き取りや登記簿の調査から、S様はA道路の持ち分を有しておらず、A道路には甲土地の所有者がそこを通行する権利である「通行地役権」も設定されていないことが判明したのです。

このことから、甲土地はA道路を正面路線として特定路線価を付して評価するのではなく、B道路への通路を想定し、無道路地として評価するのが適正と考えられ、評価額は4,148万円と算定。さらに家屋や現預金などの評価も行い、相続税申告書を税務署に提出しました。

適正な相続税申告のために、自己申告ではなく専門家に相談を

今回の申告作業をS様ご自身でされた場合、A道路に特定路線価を設定し評価を行っていたかもしれません。
特定路線価は、ほとんどが接する公道に付された路線価の9割程度です。ですからA道路の特定路線価は306,000円となり、甲土地の評価額は約6,000万円と算定されます。無道路地として算定した評価額は4,148万円ですから、2,000万円近く高くなり、結果的に、約600万円も余計に相続税を支払っていた可能性があります。
S様からは「適正な相続税申告ができてうれしい」と、お礼の言葉をいただきました。

S様によると、もともと甲土地と乙土地はひとつの土地だったものの、今回より前の遺産相続により2つに分割され、その後、乙土地が第三者に売却されて、甲土地だけ取り残されたとのこと。そのため、甲土地は無道路地となったのです。このような混乱を防ぐためにも、適正な遺産分割は重要といえます。

今回のポイントは、行き止まり私道に接している土地の評価です。
宅地に接する道が行き止まり私道の場合、路線価がついているか、建築基準法上の道路か、通行地役権が設定されているかといった確認が必要になることがあります。
適正な申告のためには検証が不可欠ですので、まずは専門家に相談してみましょう。

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フジ総合鑑定 住江 悠

フジ総合鑑定 住江 悠

株式会社フジ総合鑑定 大阪事務所 事務所長。不動産鑑定士。24年間で3,600件以上の相続税申告・減額・還付業務の実績を誇る、相続・不動産コンサルティング事務所で、公平な立場から不動産の評価を行う、相続・不動産のプロフェッショナル。