今回の事例は、大阪府のK様からご相続還付の依頼をいただいた雑種地のケース。ポイントは「市街化調整区域にある雑種地」という点です。
市街化抑制区域のため、評価額が2分の1
市街化調整区域は市街化を抑制する区域であり、原則、建物を建てることができません。
ただし、都市計画法に定められた開発許可基準、および都道府県の審査基準をクリアすれば、店舗や工場等の一定の建物を建てることができます。下記、大阪府審査基準の抜粋をご参照ください。
雑種地を評価する場合には、この建築制限等の規制の度合いに応じて、しんしゃく(減額)することが認められています。減額割合は、一部建物が建てられる場合は30%、全く建てられない場合は50%として差し支えないとされています。
対象の土地は市街化調整区域だったため役所調査・現地調査を行い、大阪府の審査基準と立地状況等を1つ1つ照らし合わせて確認していきました。すると、どの基準にも該当せず、全く建物が建てられない土地であることが判明したのです。
そこで評価を見直し、50%のしんしゃく割合を適用しました。税務署にも認められた評価額は当初のほぼ2分の1、約557万円となりました。K様にはその他の減額要因も合わせて、約500万円が戻ってきたのです。
行政的な規制は土地の評価に大きな影響を与えますが、現地を見ただけで判明しないことがほとんどです。
今回は規制の調査をしていなかったことにより、土地の評価額が倍になってしまった事例ですが、実は非常によくある見落としなのです。
次回は、貸家建付地の評価を見直して6,100万円の減額に成功した事例に基づき、「貸家建付地の落とし穴」についてご説明します。
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フジ総合鑑定 住江 悠

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