今回の事例は、相続財産に非上場株式が含まれているケースです。
申告書に添付された非上場株式の計算明細を見ると、A様が相続したA建設株式会社の資産のうち土地の評価額は1億7,800万円。他の資産に比べて最も高いのです。
前回ご説明したとおり、非上場株式の評価はその会社の純資産価額を用いますが、純資産には会社所有の土地等が含まれます。ですから今回のような非上場株式の評価額は、会社所有の土地評価額で変わることになります。
つまり土地が下がると純資産が下がり、株価も下がるというわけです。
仮に会社所有の土地が適正に評価されておらず評価額が高ければ、その土地の評価を見直し評価額が下がることで、非上場株式の評価額も下がることになります。
ましてや今回のように最も高い資産である場合、かなり重要なポイントとなります。
土地評価の見直しにより、総額で約780万円の相続税が還付
A建設株式会社が所有する土地は20ヵ所ありました。しかし相続税の申告書には評価明細が添付されておらず、各土地がどのように評価され、いくらになったのかがわかりませんでした。
そのため当社でイチから評価の見直しを行ったところ、土地の評価額が3,700円下がることがわかりました。その結果、株価が1,460円下がり、個人所有の土地の減額分と合わせて、総額で約780万円の相続税が還付されました。
今回の例のように、不動産の評価額と中小企業の株価評価は密接な関連があります。不動産の評価次第で、事業承継や相続の負担は大きく変わることがおわかりいただけたでしょうか。
A様も、ゆくゆくは後継者である息子さんに株式の贈与をしたいとお考えでした。
今回のことで相続税が戻ってきただけでなく、今後の株価対策にもなったと、大変喜んでいらっしゃいました。
次回は「無道路地の落とし穴」についてご紹介します。
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フジ総合鑑定 住江 悠

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