ゴミ屋敷の評価の落とし穴~知って納得! 土地評価の話~

本シリーズでは、相続税還付に関連する不動産の評価について、実例を交えてご説明しています。今回は「ゴミ屋敷の評価」です。
近年、問題になっているゴミ屋敷。賃貸の場合、借り主が亡くなってしまうと、貸し主にはさまざまな負担がかかってしまいます。ご相談いただいたU様が相続したのは、まさにそんな不動産でした。

2年前にお父様を亡くし現預金と有価証券のほか、多数の不動産を相続したU様。実は、ある不動産について、たいへん苦悩したとお話しされました。それが今回ご紹介するケースです。

U様は、お父様から使用貸借で借り受けた土地に家屋を建て、ご自身が所有する家屋を10年ほど前からO氏に賃貸していました。家屋の所有者はU様です。
賃貸した当初は家賃の支払いがあったものの、しばらくすると支払いが途絶えるようになり、滞納状態だったとのこと。またO氏は不衛生な性癖だったため、ゴミを家屋内やその敷地に溜め込んでおり、家屋はゴミ屋敷状態でした。近隣住民からは「放火等の危険性がある」としてクレームを受ける状況が続いていたのです。

家賃滞納が続いたゴミ屋敷を廉価で売却。その評価は……

そんな中、O氏が急死。生活用品やゴミ等が残されたままとなってしまっため、O氏の親族に撤去および家屋の明け渡しを求めました。ところが、その回答は「相続放棄したので対応できない」というものだったのです。

O氏が亡くなったのはU様のお父様がなくなる、わずか1週間前のことでした。ゴミ屋敷の敷地を相続したものの、ゴミ等の量から自力で撤去・処分することは困難と考え、ゴミ等の撤去を買主が負担することを前提とした売買契約を交わして、土地を売却。通常よりもかなり廉価な金額でした。
当初、土地の評価額は路線価に地積をかけただけの 1,425 万円。U様の苦悩や廉価な売却額から、一定の減税が行えないか検討しました。

次回は、その詳細をご説明します。

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フジ総合鑑定 住江 悠

株式会社フジ総合鑑定 大阪事務所 事務所長。不動産鑑定士。24年間で3,600件以上の相続税申告・減額・還付業務の実績を誇る、相続・不動産コンサルティング事務所で、公平な立場から不動産の評価を行う、相続・不動産のプロフェッショナル。