入居率が60%以下になったら収益改善を
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前回はアパート収益の簡易診断について、5つのポイントをお話ししました。
今回はその中から、「入居率の考え方」を解説します。
そもそも入居率とは?
10世帯のうち7世帯入ってくれているので、入居率は70%という考えはあるかもしれません。
でも部屋ごとに見てください。必ず成績の悪い部屋があるはずです。
わかりやすい例として、1階が3部屋のアパートで考えてみましょう。真ん中の部屋は家賃が1番下がっているし、空いたら次の入居者が決まるまでの期間がいちばん長いですよね。
ですから入居率は、現在の入居数だけではなく、各部屋の現在までの入居状態を加味して数字を出さなければいけないのです。
現在の入居数が全てではない
前回、入居率が60%以下になったら改善が必要だとお話ししました。
例えば全10部屋のうち7部屋が入居している物件だとします。入居率は単純計算で70%だから安心だと思いますよね。60パーセントを切るようだったら考えてくださいといわれているけれども、まだ70%だから大丈夫だと。
でも安心してはいけません。実は、これを1部屋ずつで考えると、状況が変わってくるのです。
各部屋の入居率を数字に置き換える
1年間、10部屋が満室であれば、100×10で1000という数字になります。この考え方で、1部屋ごとの数字を見てください。
ずっと満室だったのは4部屋です。入居率は100×4で400です。
では、その他の部屋はどうだったのか。
2部屋は、空いている時期があったので70%。70×2で140。1部屋は、半年空いてしまったので50%。50ですね。2部屋は30%の入居率でした。30×2で60。そして1部屋は、1年空いてしまったので0です。
これをトータルすると650、つまり入居率は65%。考えなければいけない数字になるのです。
賃貸経営をホテル経営で考えると……
賃貸経営はホテル経営と一緒だという人がいました。
どういうことかというと、ホテルは1日単位で部屋を貸しますよね。ですから賃貸住宅も同じように、1部屋に1年間ずっといてくれたら365日と考えようというわけです。
例えば10部屋あるとしたら、365日×10部屋ですから3,650という数字になります。それに対して2,700となると73%、3,570だとすると97.8%です。
このように、1日単位でお部屋を貸すと考えて1年を365日で計算すると、かなりシビアな数字が出ますよね。
リノベーションが必要な部屋を見極める
では、このアパートの収益を改善するには、どうしたらよいかを考えてみましょう。
入居率を上げるために、全部の部屋にお金をかける必要はありません。
1部屋ごとに、しっかり確認すれば、
「ここは角部屋だし、日差しも入ってくるので、クロスを張り替えるだけでいい」
「ここは、一部水回りを変えてあげよう」
ということが見えてきます。
そして1年空いてしまった部屋は、家賃を高く取れるように、クロスから水回りから、まるっきり新しくして入居者を獲得するのです。
そうすると、以下のような数字になります。
1番空いている部屋、1年間空室になった部屋をリノベーションすると、他の部屋はそのままでも入居率が上がります。
収益を改善するためには、どの部屋も同じ金額をかけるのではなく、お金をかける部屋と、とそうでない部屋をしっかり見極めてください。
今回は、収益改善の診断ポイントの中から「入居率の考え方」について解説しました。
次回は家賃の賃料指数、「家賃の下落率の考え方」についてお話しします。
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石川 龍明
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