アパート建築でまず知りたいのが「費用」。アパートを検討するために知っておきたい、アパート建築費の内訳や相場を解説します。さらに「成功するアパート」を見分けるための建築費見積の比較ポイントを、アパート建築と経営の専門家が徹底解説します!
アパート建築費の坪単価はどれぐらい?まずは相場を知ろう
アパート建築費は建物の大きさによって変わるため、坪単価がわかりやすい目安となります。
坪単価は、建物の構造によって金額が変わりますが、アパートの場合はおもに「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3種類で建築され、それぞれの坪単価の目安は以下のようになっています。
木造 55~80万円程度
鉄骨造 80~110万円程度
鉄筋コンクリート造 90~120万円程度
アパートを建築する際、最初に気になるのは建築費の坪単価です。しかし、坪単価だけを見ても全体像は掴めません。建築費の相場は、設計や仕様、土地の条件などにより大きく変動します。
一般的に、アパートの建築費は1坪あたり約50万円から100万円程度とされていますが、これはあくまで一例で、具体的な金額はそれぞれの条件や仕様により異なります。また、アパート経営では建築費だけでなく、運営コストや修繕費など、維持管理にかかる費用も考慮する必要があります。
これらを踏まえたうえで、建築費の予算を立てることが成功するアパート経営の第一歩となります。
アパート建築費の内訳はどうなっている?
建物の建築というと、工事費や設備費に目が行きがちですが、諸費用についてもしっかり確認が必要です。
建物本体工事費
設備工事費
諸費用
実際には、アパート建築費の詳細な内訳は多岐にわたります。
ここでは触れていませんが、建築するに土地から取得する場合には、場所や広さ、地質により土地費用がかかります。また、諸費用以外にも、許可申請費、融資手数料なども考慮する必要があります。さらに、アパート運営には維持管理費も必要で、これも初期投資として考えるべきです。
これらを総合的に考慮し、事前にしっかりと予算を立てることが重要です。
アパート建築には専門知識が必要となります。そのため、信頼できる建築会社やコンサルタントとのパートナーシップが成功の鍵になるといえるでしょう。
建築費のほかにかかる費用は?
広告宣伝費
管理費
修繕費
税金
保険料
アパート経営を成功させるためには、これらの全ての費用を考慮し、適切な計画を立てることが重要です。また、成功するアパートの見分け方としては、立地条件や将来の需要見込みなど、建築費だけではない多角的な視点から判断することが求められます。
自己資金はどれぐらい必要?借入額との比率について
目安として、一般に言われている建築費用の10〜30%程度を自己資金とし、残りを借入金で賄います。
つまり、6000万円のアパートを建築するとしたら、600万円~1800万円の自己資金が必要ということになります。この比率が保てるかどうかは事業の成功を左右します。
例えば、利益率が高い事業計画であれば、より高い借入金が許容されるかもしれませんし、一方で、リスクが高い事業では自己資金を多く確保することが求められます。
さらに、借入金の利息も考慮に入れる必要があり、無理な借入をすれば、経営を圧迫しかねません。
成功するアパート経営のためには、自己資金と借入金の適切なバランスを見極めることが重要です。
アパート建築費支払いの流れと資金準備のタイミング
アパートの建築費の支払いは、おおむね「着工時」「上棟時」「完成時」の3回に分けて行うことになります。これは決まっているものではなく、建築会社によって変わりますので、事前に支払い時期や支払い条件を確認しておく必要があります。
アパートの建築費支払いの流れを理解することは、予期しない費用の発生を防ぎ、計画的な運営を可能にします。
支払いを3回のタイミング別に見ていくと、まず、設計段階で最初の支払いが発生します。これは設計費として、建築費全体の約10%が目安とされています。
次に、建築工事が始まると、工事費の一部が請求されます。これは、材料費や人件費など、工事の進行に合わせて段階的に支払われます。
工事完了後には、残りの工事費とともに、確認検査費用が発生します。
支払いのタイミングには含まれませんが、最後に、なにかあった際の準備金として数百万円程度を見越しておくと安心です。これにより、突発的な修繕費用や、空室が続いた場合の賃料収入の減少に備えることができます。
以上がアパート建築費支払いの基本的な流れです。成功するアパート経営者になるためには、これらの流れを理解し、適切な費用計画を立てることが重要です。余裕を持って支払いができるよう、ローンなどの資金繰りはしっかり計画的に行いましょう。
アパート建築費を安く抑えるポイントとは
アパート建築費を安く抑えるためには、計画段階から資金計算を正確に行い、適切な設計や建築業者の選定をすることが必要です。
まずは、複数から見積もりをとって、比較検討すること。土地形状や希望する間取り、設備など、それぞれの会社が得意としている部分は異なります。希望するものが一番得意なところに依頼すれば、金額が安くなったり、同じ金額でも満足いく品質が得られたりするはずです。
また、同じ会社に設計と施工を発注する「設計施工一括方式」は、設計と施工の発注先が分かれる「設計施工分離方式」より費用をおさえられます。
コストを抑えるために、仕上げや設備のグレードを落として安くする手法も見受けられますが、耐用年数など長い目で見ると修繕代などでマイナスになるということも。目先の安さだけでなく、コストパフォーマンスを重視し、信頼性の高い業者を選ぶことが肝心です。
これらのポイントを押さえ、金額的な安さでなく、長期で安定した経営のできるアパートを建築できるのが、金銭的にもベストな選択といえるでしょう。
ハウスメーカー、工務店では建築費はどっちがお得?
ただし、ハウスメーカーと工務店でのアパート建築は、ケースバイケースで、一概にどちらかが良いとは決められません。
工務店でいえば、地域密着型で、個々のニーズに対応した設計や施工が可能。費用が安く自由度が高いというメリットがありますが、設備や建材などの選択肢が少なく、アフターフォローが不十分といったデメリットもあります。
見積書の見方、比較するポイント
見積書の見方のポイント
さらに、建築費以外にも管理費やランニングコストも重要です。これらが高額だと、利益が出にくくなります。
また、耐震性や劣化速度も考慮する必要があります。耐震性が高いほど、地震のリスクから逃れられますし、劣化速度が遅いほど、メンテナンス費が抑えられます。
比較する際のポイント
そもそも、建物自体の設計建築が同じではないので、簡単に比較できないのは当然です。
そのため、見るべきポイントを決めて、希望している内容にあっているのかを、まずはチェックしてみましょう。
アパート建築費が適正かどうかを見極める方法
アパートの建築費はその地域や建築会社、建物の規模などによって大きく異なります。しかし、単に費用の相場を知るだけでは不十分です。
成功するアパートは、適正な建築費で建てられ、適切な価格で運営されていることが重要です。そのため、アパートの建築費が適正かどうかを見極めるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
・地域の相場価格を調査する。
・建築会社の評価と実績を確認し、信頼できるパートナーを選ぶ。
・予算内で最適な規模と設備を考慮し、将来的なメンテナンス費も忘れずに計画する。
・アパートの運営に必要な経費と収益を見積もり、適正な運営価格を設定する。
これらのステップを踏むことで、適正な建築費でアパートを建て、成功するアパートを運営することが可能になります。
さらに、見積もり金額が適正かどうか見極めるには、複数の見積書をとって比較するのが有効です。前項を参照して、必ず比較を行い、金額の根拠となる単価などがきちんと記載されているかなどを、よく確認しましょう。不明な点があれば業者に質問してみて、どのように説明・対応してくれるかを見ることも大切です。
また、建築業者の評判を調べるには、インターネットや口コミサイトなどを参考にしてみましょう。建築業者の資格については、国土交通省のウェブサイトで確認できます。
これらの方法で、信頼できる業者か、ごまかしはないかを見極めましょう。
建築費だけではなく、利回りや事業計画もきちんとチェック
アパート建築は、大きな投資になります。アパート経営を成功させるには、建築費の金額を見るだけでなく、利回りや事業計画を十分に検討して、リスクを軽減することが大切です。
利回りは、投資した金額に対してどれだけの収益が得られるかを示す指標です。高い利回りを得るには、土地代や建築費、運営費などの支出を抑えつつ、家賃収入を最大化することが求められます。
アパート建築の利回りは、一般的に5%~10%程度。利回りを上げるためには、立地条件や賃料相場をよく調べて、需要が高いエリアに建てることも大切になります。
事業計画は、アパート建築の収支を予測するアパート経営のロードマップとなるものです。
どのようなテナントをターゲットにするか、どの地域で経営するか、長期的に見てどのように運営していくかなど、具体的な計画を立てることが求められます。
また、市場の動向をしっかりと理解し、変化に対応する柔軟性も必要です。
アパート経営は経済状況や地域の人口動向など、外部環境の影響を大きく受けます。そのため、事業計画を立てる際には、これらの要素を考慮に入れることが大切です。
事業計画を作成することで、アパート建築にかかる費用や収入を把握し、投資のリスクを軽減することができます。
実際の建築費と利回り事例
【事例 01】東京都心 土地面積:60坪/建築面積:33坪
建築費比較だけでは見逃してしまう、アパート経営の大事なポイント
立地条件を重視する
ターゲット層を明確にする
設備を充実させる
管理体制を整える
修繕費を計画的に準備する
税金を理解する
リスクを把握する
お金で失敗しないアパート経営の秘訣
アパート経営を事業として成功させるために、どんな人がお客様(入居者)になってくれるのか、そのお客様が住みたいと思うアパートにするには、何がひつようなのか、まずはここからじっくり考えましょう。
利回りの良い物件にしたくて、建築コストを下げることは簡単ですが、設備や仕様が十分でないアパートに、あなたなら住みたいと思うでしょうか?
すべてのビジネスに通じることですが、まずはお客様の目線にたって、良いサービス(物件)を提供することが、成功への近道。お金で失敗することのないアパートを手にいれる秘訣と言えるのです。
空室を出さない、高稼働アパートとは
古川 健一
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