アパートの修繕について知っておくべきことは?
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今回のテーマは、「修繕の費用とメンテナンスフリーの考え方」です。
修繕費の積み立ては、なぜ必要か
アパート経営の事業計画に、修繕積立金が入ってないケースをよく見かけます。そうすると手残りは良くなりますが、経年すれば修繕費は必ず必要な出費として出ていくものです。ですから、そのときに備えて積み立てておく必要があります。
この修繕費を積み立てておくことによって、入居者の満足度が向上するアパート経営をずっと続けられるのです。また部屋が空いたときに、ある程度の積み立てがあると次の手が打ちやすくなり、空室対策にもなります。さらに常に管理が行き届くことになるので、健全な建物としていつまでも気持ち良く住んでいただけるのです。
入居者に長く住んでいただくためにも、空室対策としても、修繕費は非常に重要だということがおわかりいただけたでしょうか。
アパート経営で必要な4つの修繕とは
アパートを所有した方からよくご相談されるのは、以下のようなことです。
・アパートの修繕費は、どのくらいなのか。目安が知りたい。
・修繕費は費用なのか減価償却費なのか。会計項目がわからない。
・アパートメントの修繕費を抑えるのは、難しいのか。
この3つは群を抜いて多い質問です。
修繕について、できるだけ費用を抑えたいというのは、オーナー様の共通の思いです。
そこでアパートの修繕について、もう一歩掘り下げて考えてみましょう。
アパート経営では、所有する建物の修繕は大きく4つあります。1つが原状回復。2つ目が補修。3つ目が予防修繕。4つ目が大規模修繕。アパートを所有しオーナーになったら、その瞬間に、この4つの修繕があることを頭に入れておいてください。
原状回復費と補修費は、月々の家賃から積み立てる
1つ目の原状回復。これは入居者の退去時には必ず必要になります。ですから原状回復の費用は、月々の家賃の中から少しずつ積み立てるようにしましょう。
お掃除だけですむ場合もありますが、建具を変えなければいけないこともありますし、水回りまで手を入れなければいけないケースもあるかもしれません。ですから費用も数千円から数十万円まで、ケースバイケースでジャッジメントが大変ですね。どこに、どんな傷がついているかによって、ご自分でできることあるでしょうし、専門家に任せるしかないかもしれません。
ただ、お掃除の費用に関しては、契約時に敷金との清算というような形にするといいと思います。例えばワンルームなら、「退去時に清掃代が3万5,000円かかります」というようにしておく。そういうことは謳っても問題ないですし、そうしておかないとオーナー様の持ち出しになってしまうこともあるので、覚えておいてください。
とにかく入居者が退去したときに、ちゃんと部屋の状態を確認しておくこと。それが原状回復に対しては最も大切なことです。
2つ目が補修。キッチン、洗面所、トイレ、お風呂、クーラーといった設備関係です。
これは退去時ごとではなく必要に応じてになるので、20年経った時点で古くなったから変えるということもあると思います。補修の費用も月々の家賃の中から出していくという形にすると良いでしょう。
予備修繕と大規模修には、別立ての修繕積立金を
3つ目は予備修繕。大規模修繕で、たくさんお金がかからないように、予備診断をして手をつけておくというのが予備修繕です。周期的には1年から数年に1回くらいになります。
例えばRCマンションであれば、屋上部分の防水。一定の周期でチェックをして、必要であれば修繕をするのです。費用は1㎡で1,000円から1,500円程度ですが、知らないまま放っておくと、水が入って雨漏りの原因になり大規模修繕が必要になってしまいます。
けれども予備修繕をしておけば防ぐことができる、あるいは先に延ばすことができる。女性がマニキュアを長持ちさせるときに使う、トップコートのようなイメージですね。
こういう予備修繕はいろいろありますので、いつ、どういうことをやっておけばいいかを頭に入れておいてください。
4つ目が大規模修繕。これは外装やコーキング、防水など、建物全体の修繕です。15年から20年くらいの間のスパンで、2、3回に分けてやるようになると思います。
3つ目の予防修繕と4つ目の大規模修繕の費用は、家賃からの積み立てとは別に「修繕積立金」として用意しておきましょう。
修繕費を抑えるために、メンテナンスフリーを意識
大規模修繕で、なるべくお金がかからないようにするには、新築の時から外壁部分も含めて、できるだけメンテナンスフリーになるように、素材から考えて作っていくこと。リノベーションも同様です。
例えばプリマのアパートには、ベランダも屋上もありません。屋上やベランダの防水は、建築時にもメンテナンスにも、けっこうお金がかかります。ですから防水工事が不要な作りになっているのです。
外観の美しさやセキュリティーだけでなく、メンテナンスフリーも意識したデザイン。それがプリマのアパートです。
今回は、「修繕の費用とメンテナンスフリーの考え方」についてお話ししました。
どんな建物でも古くなれば修繕が必要です。そこで次回は、建物を長持ちさせる修繕ポイントについて解説します。
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石川 龍明
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