DSCRが1.1になったら危険信号
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今回のテーマは、「DSCRの考え方」です。
DSCRを計算するために収入と支出を確認する
DSCR(Debt Service Coverage Ratio=元利金返済カバー率)とは、債務の返済にどの程度余裕があるかを評価する指標のこと。ほとんどの方は銀行からの融資をうけてアパートを建てていると思いますので、銀行のお金を返し続けられるのかが不安ですよね。そこでチェックしたいのがDSCRです。
DSCRを計算するためには、1年間の収入と支出を正確に確認する必要があります。
まず収入。アパートの家賃は月額いくらで、年額いくらになるのか。要するに入居者様から入ってくるお金ですね。
そして支出。銀行への返済の他にも、税金関係、管理費、さらに修繕積立があります。
修繕積立は、アパートを建築したときの初期投資が目安です。6,000万円から7,000万円の場合、1年間で20万円くらい、1億円で30万円くらいみておけば大丈夫でしょう。
家賃収入-支出で純利益を計算
今回は、実際に8世帯が入居しているプリマアパートを例にとって考えてみます。
1年間の収入は満室の場合、566万4,000円です。
そして支出。1年間の税金関係、公租公課は30万100円。管理費は3万6,000円です。管理費が3万6,000円という数字はオーナー様が自己管理しているケースで、管理会社にどこまでお願いしているかで変わってきます。修繕積立は20万円くらいとお話ししましたが、今回の例では21万840円です。
合計は54万6,940円。入ってくるものから出ていくものを引くと、511万7,060円ということで、この金額が1年間の純利益になります。
純利益÷銀行返済=DSCR
そして銀行への返済です。6,000万を25年間、金利1パーセントで借りると、返済は1年間に271万3,482円となります。
先ほど計算した純利益を、銀行に返済する金額で割った数字が、返済カバー率です。
今回の例では、5,117,060÷2,713,482=1.88、つまり1.88がDSCR、返済カバー率になります。
返済カバー率が1.5以上だったら、何もご心配なく、そのまま進めてください。1.4~1.2は△です。信号で言ったら黄色ですから近い将来、何か手を打たなければいけないと思ってください。1.1以下は×です。これは、今すぐ手を打たなければなりません。
なぜだと思いますか?
DSCRが1以下になると家賃収入で銀行返済ができない
返済カバー率が1を切るということは、入ってくる純利益より銀行に返済する金額の方が多いということです。ということは家賃の手取りだけでは足りないので、どこかからお金をかき集めて、足して銀行に返さなければなりません。例えば貯金、年金、ご自分の生命保険、もしかしたらお孫さんの学資保険かもしれません。
そうなると誰のために、何のためにアパートを建てたか分からないですよね。まして、そんな状態で渡された次世代の家主さんは、非常に気の毒なことになってしまいます。
ですから1年に1回、例えば確定申告の時期に、銀行に返すお金とご自分の純利益のバランスを見てDSCRを確認してください。そして1.1以下になっていたら、一刻も早く手を打つことを強くお勧めします。
今回は健全なアパート経営に欠かせないDSCR、返済カバー率についてご説明しました。
次回はアパート経営のハード部分である、建物を長持ちさせるポイントについてお話しします。
↓こちらの内容は、石川先生の動画でもご覧いただけます。↓
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石川 龍明
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