父の遺言で「保証人にはなるな」と言われた。
よくあるセリフです。保証人になったがために財産を失ったという話はよくあることです。そんなことを言われなくても分かっていますよ、と言いながら世の中、浜の真砂は尽きるとも……保証人は消えてなくならない。契約の保全を相手に求めるからです。
入居者は保証人を頼みたくない
大家さんが、借り手に対して契約を完全なものにするために、保証人を要求しますでしょ。もし家賃の不払いをするような入居者がでたら、保証人に請求できるからです。しっかりした保証人がいれば安心です。
でも、入居者が保証人をつけることを嫌いはじめています。友人は無理です。親か親せきに頼むのですが、面倒で負担です。親せきがいない人は困ってしまいますね。最近では、保証会社に保証料を払って保証人になってもらうこともあります。敷金を多めにということもあります。
とにかく、借り手にとっては、この保証人ほど厄介なものはないのです。「なんでお金を払う私(お客)がそこまでしなくてはいけないの?」。大家さんに、この声が聞こえていますかね……。
借り上げ方式とサブリース契約
ところで大家さん、一括借り上げ方式やサブリース契約って知っていますよね。大家さんが借家人一人ひとりと契約しないで、不動産会社に一括して借り上げてもらう契約です。大家→サブリース会社→借家人という関係です。
大家さんは会社から一定の家賃を受けとり、会社は利益を乗せて貸します。大家さんは直接貸すより安くなりますが、家賃が安定して、面倒がなくなります。しっかりした会社に依頼していれば、まさに「左ウチワ」になるはずなのですが……。
「10部屋のアパートを全部まとめて月額100万円で貸す」。こんな解約を結んだとしたら、大家さんはこれで毎月100万円、保証されたと思うでしょうが、必ずしも完全とはいえない場合があるようです。
正確にいえば一括借り上げ方式では、家賃は一定年度ごとに見直されます。上記の100万円は固定金額ではありません。相場の家賃が下落すれば100万円は下げられてしまいます。
「サブリース10年間固定で大丈夫でしょうか」
確かにサブリース契約10年間であれば家賃は固定します。しかし通常の借地借家法では、期間内であっても経済事情等の著しい変動があった場合には減額される場合があります。
大家さんの家賃の保証は完全ではないのです。
どうしても家賃を固定させるのであれば、定期借家契約で借賃の改訂に係る特約(確定賃料支払約束条項)を結び「家賃増減額請求権」を排除しておけば、家賃は確定します。
本郷 尚 (ほんごう たかし)
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