「『買い換え特例』を使って資産の組み替えを」~がんばれ、大家さんVol.48

土地の活用から資産の組み替えへ

前回は、立地条件によってアパート経営には大きな差がつく、とお話ししましたが、大家さんがアパート経営をするときには、立地を選ぶことはできません。もともと立地を選ぶことなど考えてもみなかったのです。
「庭が広いから」「土地を利用していないから」「駐車場では収入が少ないから」「更地では固定資産税や相続税が大変だから」「建築会社や銀行に勧められて」と、自分の空いている土地の有効活用として、アパート経営を始めています。
しかし、今後賃貸経営の競争が激しくなると、立地を選ばずに始めたアパート経営は苦しくなります。立地という賃貸経営の最も基本となるべき点が欠けているからです。
「そんなことを言っても無理だよ。自分の土地があるから、アパートが建てられるのだから。それに土地を売るなんて、絶対できないよ。このあたりで土地を売れば、あいつはとうとう土地を手放したかと言われてしまうよ」という声が聞こえてきます。その声を十分承知のうえで、あえて申し上げます。
「大家さん(地主さん)、土地の時代は終わったのです。これからは土地が財産ではなく、収益を生むものが財産ですよ」
「土地から、収益を生む財産に組み替えなければ、生き残れませんよ」
いずれ、いや、もうすでに土地の価値は、建物と一体になってどのくらいの収益力があるかで決まる「収益還元法」によって評価されています。坪当たりいくらの時代は終わったのです。

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今なら間に合う「買い換え特例」

であるならば、郊外や地方の土地または収益力の低い貸地や駐車場を処分して、収益力のある不動産(土地と建物)に買い換えてみてはいかがでしょうか。
事業用資産の買い換え特例の制度は、10年超所有して、何らかの収益を生んでいる不動産(農地、貸地、駐串場、アパート、店舗、工場等)を2020年3月末までに売却(契約だけでもOK)して、翌年(2021年末)までに事業用資産を買い換えれば、譲渡益の一部の課税を繰り延べられるという制度です。
土地から建物(アパート、ビル、店舗)へ、土地から土地(建物も建てる)〈注〉への買い換えをします。同地区内、郊外や地方から都心へ、都心から都心へ、場所は一切問いません。ただし海外は認められません。
多いケースは自分の所有する土地を売却して、その資金で自分の別な土地にアパートを建てるケース。これなら無借金でアパートが建てられます。
駅から遠い土地を売却して、駅至近の土地に買い換えて賃貸住宅を建てる、さらには郊外や地方の土地を売却して、都心に買い換えることもあります。
貸地を売却して、収益力の高い不動産に買い換えることもあります。
目的は、立地が悪い、収益力が低い、そして将来性がない土地を思いきって処分して、将来を見据え、立地を選択して収益力をつけることをねらっているのです。

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本郷 尚 (ほんごう たかし)

税理士・本郷尚 日本における資産税の第一人者として、相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心に活躍。各方面で講演・執筆等行い、著書も多数。株式会社タクトコンサルティング会長。 https://www.tactnet.com/