「立地の良い不動産は相続税では有利」~がんばれ、大家さんVol.49

前回、事業用資産の買い換え特例を使って「資産の組み替え」をしませんか、と話しました。土地から収益力のある不動産に買い換える、これからの財産は収益力のあるものです、と言い切りました。土地をずっと守ってきた大家さんや地主さんからは、「何を言うか、とんでもないことだ」という声が聞こえてきます。

土地だけでは生き残れない

それでもあえて言いましょう。土地だけでは生き残れません。収益力がなければ価値がありません。「今はデフレで土地の価値は下がっているけれども、いつかまたインフレになって土地の価値が上がることもあるさ」。そうかもしれませんが……。でも、やはり土地の時代は終わったのです。仮にインフレが起きても、それはごく特定の立地の良い場所の価値が上がるだけです。過去のように、全体的に土地の価値が上昇することはないでしょう。
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更地より収益不動産が税法上有利

ところで、立地の良い場所を収益の高い不動産に組み替えると「相続税対策」になるのです。まず土地から建物に組み替えると、賃貸建物の相続税評価額は固定資産税評価(取得価格の6割)となり、借家権割合(3割)を差し引きます。よって評価額は、取得価格×6割×(1-3割)=42%ぐらい、つまり約4割となります。取得価格5,000万円の賃貸建物は約4割の2,000万円となります。
土地については容積率の高い土地であれば、面積が小さくても高度利用ができるので収益力があります。地価の高い土地ほど、貸家建付地割合の評価減(18~21%)、さらには小規模宅地の特例の評価減(不動産賃貸の事業用地には200平方メートルまで50%減)が、より効果的に使えるというメリットがあります。極端なケースでは、土地と建物の時価(取得価格)の約4割で評価されることもあります。
収益力があって、かつ相続税法上では評価が低く有利です。なぜか? それは現在の税法では、更地の土地を最も高く評価しているからです。土地(更地)の面積に税金を課税しています。固定資産税と相続税は、土地に対して面積課税をしています。

居住用の土地は、自宅や貸家を問わず、固定資産税は6分の1に軽減します。相続税では、建物及び土地に借家権が発生して評価減をします。
つまり、更地は税法上「丸腰」状態で、税金にねらい撃ちされているのです。一方、立地が良く収益力のある不動産は、土地の面積が小さく、かつ建物の面積が大きいのが特色です。建物の評価は立地に無関係で評価しています。
よって、収益力のある立地の良い不動産は「カがあって、お金持ち、そして税金は安い」のです。一方、収益力のない土地は「カもなく、金食い虫で、そして税金が高い」のです。
「そんなにボロクソに言うなよ」と、地主さんや大家さんに言われそうですが、残念ながらこれが現実なのです。時代が大きく変化してしまったのです。

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本郷 尚 (ほんごう たかし)

税理士・本郷尚 日本における資産税の第一人者として、相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心に活躍。各方面で講演・執筆等行い、著書も多数。株式会社タクトコンサルティング会長。 https://www.tactnet.com/