退去理由には、大きく分けて「理由型退去」と、「結果型(原因)退去」があります。空き室対策のヒントが隠れているのは結果型(原因)退去です。
しかし入居者様も、いきなり退去したくなるわけではありません。
新しい住まいに引っ越してきたのですから、ワクワクとした期待を持っているはずです。
ところが入居してから、入居前には予想しなかった「なんとなく気になる」ことがあったりすることもあります。はじめのうちは我慢していても、長く続くと徐々にその思いが膨らんでストレスに変わっていく。こうなると、もう去予備軍になってしまうのです。
結果型(原因)退去に関連する我慢は、設備関係、構造面、収納関係などさまざまありますが、最も多いのは「、隣や上の人がうるさい」という、いわゆる他人の生活音です。
しかし音の感じ方というのは、その人のライフスタイルや、それまでの生活環境にも左右され、人それぞれ違うものです。
そこで参考にしたいのが、床衝撃音です。
床衝撃音を参考に「聞こえにくい」レベルを保ち、トラブルを回避。
人が飛び跳ねたり、重い家具を動かしたりする場合に聞こえる音を「重量床衝撃音」、食器など比較的軽量のものを落とした音や、ハイヒールやスリッパなどによる足音などを「軽量床衝撃音」と言います。
音の検査のひとつに「床衝撃音レベルに関する遮音等級の求め方」があり、LH、LLという数値で表します。いずれも数値の低い方が、遮音性が高くなります。
LHは、重量床衝撃に対する床の音響性能を示す数値です。2階の床に自動車用タイヤを、約1メートルの高さから落とし、階下の部屋で約50ホンに聞こえる場合の床性能は、LH-50になります。
LLは、軽量床衝撃に対する床の音響性能を示す数値です。2階の床に500gのハンマーを、約4センチメートルの高さから落としたとき、階下の部屋で約50ホンに聞こえる場合の床性能は、LL-50になります。
対策として床の遮音性を高める方法があります。軽量衝撃音に関する対策はいくつか講じられるのですが、重量衝撃音の対策はなかなか難しいようです。
結論として、上下階の音が「聞こえない」ようにするのではなく、「聞こえにくい」というレベルにするのが肝要なのではないでしょうか。
出典:「成功大家になるための資産運用大学」より
石川 龍明
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