アパート経営セミナーの盲点
アパート経営セミナーは全国各地で開催されています。いわく「ペイオフ解禁と資産運用」「デフレ期とアパート経営」「税制改正と土地活用」「高齢化社会に対応する資産運用」等々とタイトルはいろいろですが、要はアパートを建ててみませんか、というセミナーです。かくいう私も講師として呼ばれて話をします。
いつも思うことですが、こうしたセミナーでは建てることを目的としますから、どうしても供給者の理論になってしまいます。参加者は地主さん、建築会社、銀行、税理士、賃貸管理会社、コンサルタントですから、すべてアパートを供給する側ばかりです。
肝心要のお客様(借り主)の声はほとんど聞くことがありません。当然のことですが、アパートを建てることは、アパート経営のスタートにすぎません。建ててから20年、30年、場合によっては50年以上経営をすることになるのです。建ててからが重要なのです。
「借り上げ保証があるから心配ないですよ」「信頼できる会社が管理してくれるから大丈夫」、そんな声が聞こえてきます。本当でしょうか? 別にここで敢えて意義を唱えるつもりはありませんが、他に保証を求めても、完全ではありませんし、絶対大丈夫はそれこそ大丈夫ではないのです。
大家さん、お客様の生の声を聞いて!
最終責任は自分が負うのです。やはり経営リスクは経営者が負うのです。そこでこれからの大家さんは、自分の耳で借り主さんの生の声を聞き、アパート経営の参考にしてもらいたいのです。
例えば、なぜ女性は1階を嫌うのか、寂しい場所のアパートを敬遠するのか。特に若い女性は「安全」を最も重視するからです。さらには、乾燥機があるかないかもポイントになります。洗濯物を干す場所がきちんと確保されているかどうか、男性がほとんど問題にしないことを、女性はチェックポイントにしています。
それに対して、創意工夫により解決していく道を探し出します。若い女性は1階を敬遠しても、年配の夫婦であればむしろ皆伝のない部屋を求めます。周りが寂しいのであれば、建物の周りをライトで照らし、明るくする。乾燥機をつける、またはお風呂場を乾燥室になるように工夫をする。さまざまな努力によって改善されます。
プロパティ・マネージャーの登場
ところで、こうした借り手の声を十分聞き、その声を大家さんに報告をして改善提案をしてくれるプロが登場してきました。単なる賃貸管理人ではありません。仲介業者でもありません。大家さんの側に経って、かつ入居者のニーズや不満を聞き、改善提案をする専門業者です。
アメリカではプロパティ・マネージャー(略してPM)と呼ばれる人です。
「満室カフェ」では、各分野の専門家(税理士・不動産鑑定士・弁護士・ファイナンシャルプランナー・不動産コンサルタントなど)が、賃貸物件オーナー様のお悩みや不安を解決する、「満室経営」実現のための情報のご提供を行っております。
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本郷 尚 (ほんごう たかし)
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