アパート経営で知っておきたい内覧メソッド~小冊子~

共通言語を形にする小冊子の作り方は?

賃貸経営コンサルティング・石川龍明先生が教える、満室経営の成功のカギ。大人気セミナーのすぐに経営に活かせる実践的な内容を、テーマごとにブログ&動画で伝授します。

今回のテーマは内覧メソッドの第3弾、「小冊子」です。

ターゲットを絞り込んだ小冊子作り

前回、フォーカルポイントはターゲットを絞り込んで決めるという話をしました。フォーカルポイントの説明を共通言語にして、入居者予備軍に伝えるわけです。それを見える化して、形にしたのが小冊子です。
ですから、ターゲットに響く言葉や写真をセレクトすることがポイントです。

では、実際の小冊子はどのように作っていくのか。今回は実際の小冊子を例にとって説明します。

コンセプトを伝えるキャッチコピー

これは、草加にあるPRIMA CREVIAの小冊子です。サロン型賃貸といって、手に職を持っている人たちがターゲットです。

サロン型というのは店舗ではなく、自分の部屋にお客様を呼んで、ネイルやヘッドスパをするスタイルで、1階だけに限定しています。家賃は2階に比べて7,000円から1万円くらい高い設定です。

右側が表紙、左側が裏表紙です。
デザイナーズアパート PRIMA

表紙を見ると、物件のコンセプトがわかります。
キャッチコピーは
「毎日をもっと素敵に 暮らしのスタイルを変えてみませんか?
住むほどに心から笑顔になれる女性入居者限定サロン型賃貸アパートメント」

プリマは河口湖にも物件がありますが、プリマでは最も標高の高い場所なので、
「宇宙に1番近いプリマ」
というコンセプトでコピーを考えます。

このように建物の名称が「プリマ○○○番館」であっても、小冊子にはオーナーの思いやストーリーを表現するコピーが必要です。そのキャッチコピーが、入居者予備軍に響く共通言語になるのです。

フォーカルポイントは、写真や図を用いてわかりやすく

PRIMA CREVIAの小冊子では、フォーカルポイントを裏表紙にまとめています。

まず、セキュリティーシステムです。女性専用なのでオートロック。そしてカラーモニター付インターホンです。また留守でも荷物が受け取れる宅配ロッカーがあること。さらに外階段ではなく内階段なので、入居者以外は誰も入れないという安全性を謳っています。次に居住空間。1階でも3.6メートルの天井高があり、天窓もあるので明るい部屋になっていること。そしてシーリングファン。天井が高くてもファンによって空気が流れるので、暖房と冷房の効率が良い。おしゃれなだけでなくて効率も考えているので、ロフトにいても、冬は暖かく、夏は涼しく暮らせるということを訴求しています。
そして間取りのポイントです。全部角部屋で廊下がないこと。普通は玄関をぬけると必ず廊下があり、右か左にお風呂があって部屋に入るという間取りですが、プリマは廊下を作ってないので、その分、部屋が広く使えます。

このパンフレットでは、中面で間取りとなど居室内のポイントと、建物デザインの見どころをピックアップしています。

 

デザイナーズアパート PRIMA

これは府中フォレストの小冊子ですが、住み方の提案をしてフォーカルポイントがすべて見られるようにしました。
「こんな家具を置いて、こんなふうに住むと良いですよ」
と、ホームステージングのように提案しているのです。
ロフトの使い方や、キッチンでしっかり料理ができること、水回りが充実していることもわかります。さらに室内の設備や、共有部分のこだわりなどを、写真を多用して構成しています。

こういった小冊子が、内覧したアパートに置いてあるだけで、内覧する人の物件に対する印象も理解度も、まったく違ってきます。

資料は一人歩きすることを意識する

小冊子のポイントは3つあります。

まず、オーナー様と建物のストーリーを知ってもらうこと。
なぜこのアパートを作ったのか、その考え方。名前が付いていれば、その由来でもいいでしょう。
次に、フォーカルポイントを明確にしてコンセプトとして打ち出すことです。
そして、資料の一人歩きを意識してください。ここが大事なのです。

人はアパートを借りるときに、必ず誰かに相談します。その相手がキーマンです。キーマンが良いと言ってくれれば、心強いのです。ですから相談した相手が小冊子にあるフォーカルポイントを見て、
「ここだったら良いね」
と言ってくれたら、決まる確率はガンガンガンと上がるのです。

たとえば大学進学で1人暮らしを始めるためにアパートを見に来た子が、
「家賃が予算より5000円高いんだけど、ここだったら本当に一生懸命勉強できると思うんだよね」
と言って親に小冊子を見せます。特に女性であれば、セキュリティの良いところに住ませてあげたいと納得するでしょう。

働き盛りの女性なら親には見せませんが、女友達に見せて、
「私が住みたいくらい」
と言わせたら勝ちです。

ファミリーの場合は、たいてい奥さんと子どもが内覧に来ます。たとえ予算より高くても、小冊子を見たご主人が
「悪くはないな。じゃ、次の日曜日に見に行こうか」
と見に来たら、決まります。

これが資料の一人歩きです。

内覧に来た人がキーマンなのかを考える。キーマンでなければ、
「相談するのはどなたですか? 1枚の平面図だけでは説明するのも大変でしょうから、その方にこれを見ていただいて、皆さんで考えてください」
と小冊子を渡すのです。

これをするとしないでは、入居が決まる確率は大きく変わります。

デザイナーズアパート PRIMA

具体的な手法としては、まずホームステージングをして写真を撮ります。そして、フォーカルポイントを意識した文章をプラスして小冊子にしてください。小冊子までいかなくても、A4裏表のチラシでもかまいません。それが玄関に置いてあったら、入居者予備軍は必ず持って帰ります。もし持って帰らないようであれば、持って帰っていただけるように工夫してください。
繰り返しますが、小冊子を渡すことで入居が決まる確率はグンと上がるのです。

今回は、内覧メソッドの小冊子の効果についてお話しました。
次回は、成功大家のリアルな事例についてご紹介します。

 

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石川 龍明

「横濵快適住環境研究所」代表、不動産活用コンサルタント。賃貸経営で一番問題となる『空室対策』のプロフェッショナルとして、多くの地主・家主・資産家様の悩みや問題点を解決。全国でセミナーを開催するほか、リノベーションブランド『DRAGON VINTAGE』などのプロデュースを手がける。ニックネーム 龍(りゅう)さん。http://www.shin-chintai.com