生命保険は相続対策にも有効です。ただし本当に効果的に活用するためには、資産運用や税金の知識とノウハウが必要となります。
生命保険の見直しをしたAさんのケースをご紹介しましょう。
Aさんは都内で複数のアパートを経営しているオーナー様。年齢は53歳で、奥様と4人のお子さんの6人家族です。大手企業に勤務しているのですが、若い頃に始めた不動産投資が成功し、現在に至っています。
52歳の時、退職後のことを考えて資産管理会社を設立しました。あわせて生命保険の見直しの検討することにし、長年付き合いのある大手外資系生命保険に相談をしたのです。
保険会社からの提案は、終身保険の解約と医療保険の継続でした。Aさんにはアパート経営による定期収入が期待されます。ですから年金代わりに考えていた終身保険をやめても問題はなく、医療保険のみで十分だと判断したのでしょう。
しかし、この提案はAさんにとって本当に有効な見直しとは言えないのです。
生命保険だけでなく、幅広い知識とノウハウをもったパートナー選定を
私がAさんにご提案したのは、終身保険の継続と医療保険の解約です。
Aさんの終身保険は1,000万円の設定でした。奥様と4人のお子さんがいる場合、法定相続人は5人ですから生命保険の非課税枠は500万円×5で2,500万円になります。つまり1,000万円の生命保険では、非課税枠を有効に利用できません。また、万が一の場合は相続税が必要になります。ですから掛け金を増やして継続することで、相続税対策になるのです。
また医療保険には個人契約と法人契約があります。Aさんは資産管理会社を設立したわけですから、個人の医療保険を解約し、法人契約に変更することで保険料を経費で落とすことができ、節税に繋がるのです。
その他にも、53歳という年齢を考慮した暦年贈与による相続対策、ご家族を設立した会社の社員にして給与を支払い不動産で得た所得を分散する節税対策などもご提案しました。
Aさんは保険会社と私の提案が真逆だったことに驚いていらっしゃいましたが、説明に納得いただき、こちらのご提案を選ばれました。
Aさんのように生命保険の見直しをきっかけに、相続や節税について考えることは、長い人生において非常に重要です。生命保険だけでなく、税金や資産運用についての知識やノウハウを持った保険会社を活用してください。
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川西 こうじ
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