築古アパートをそのまま放置したらどうなるか?
「うちのアパートは古いから、もう何をしてもしょうがない…」
なんて思って放置していませんか?
しかし、ちょっと待ってください!
築古アパートを放置することは、「建物の老朽化」「資産価値の低下」「法的責任の発生」など、様々なリスクを引き起こす可能性があります。
今回のブログでは、築古アパートを放置することで起こりうる上記の3つのリスクについて、それぞれ具体例と対策を交えながら詳しく解説します。
建物の老朽化に伴うリスク
アパートには、築年数が古くなるにつれて様々なリスクが潜んでいます。特に建物の老朽化によるリスクが大きな問題となります。
構造躯体、外壁、屋根、設備機器、汚れ、衛生面などが考えられます。ここでは、建物の老朽化に伴い、必ず押さえておきたいリスクについて具体的な事例と
対策を見てみましょう。
建物の倒壊や外壁の損傷
雨漏り、シロアリ被害、外壁のひび割れなど、建物の構造が劣化し、倒壊の危険性が高まります。特に、地震が多い日本では、耐震性の低い建物は倒壊する大きなリスクとなります。では、具体的な事例とその対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
事例1 地震や台風などの自然災害による倒壊
1986年以前に建てられた旧耐震基準の建物で、地震で倒壊する危険性が高くなっていたアパート。老朽化も進んでいたため、台風で屋根が飛ばされたり。外壁が剥がれ落ちたりする危険性がありました。
<対策>
まず建物の耐震診断で現状を確認し、必要な耐震補強を行いました。さらに、定期的な建物点検を行い、老朽化した箇所を修繕していくことで、倒壊の危険を回避しました。
外壁の剥離や落下による事故
老朽化したアパートの外壁は、剥離して落下しやすくなってきました。そのため、通行人に怪我を負わせたり、隣接した建物に損傷を与える危険性が出てきました。
もし、事故が発生した場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性もありました。
<対策>
定期的な外壁点検を行い、剥離や落下の危険性がある箇所の修繕を行いました。更に必要に応じて塗装も行いました。
修繕費の増加
給排水設備、電気設備、ガス設備などが老朽化し、故障頻度が増加します。これにより、入居者の生活に支障をきたし、修繕費用もかさみます。
では、具体的な事例と対策を見てみましょう。
建物の老朽化が進み、修繕箇所が増加
<具体的的な例>
・雨漏り、外壁のひび割れ、給排水管の老朽化など、様々な箇所で修繕が必要になる。
・修繕箇所が増えるほど、費用が右肩上がり
<対策>
・定期的な点検を行い、早期に不具合を発見し、修繕する。
・長期修繕計画を立て、計画的に修繕を行う。
放置すればするほど、大規模な修繕が増え、費用負担が増大
<具体的な例>
・雨漏りを放置すると、建物内部の構造材や仕上げ材等の腐食が進み、大規模な修繕が必要になる。
・外壁のひび割れを放置すると、見た目の美しさや、建物の耐久性が低下し、建物の資産価値が低下する。
<対策>
・早期発見を心がけ、早めにこまめに修繕を行い大規模な修繕を回避する。
・複数の修繕業者に依頼し、信頼できる業者を選定し、早め早めに適切な修繕を行う。
入居者トラブルの増加
設備の不具合が増えると入居者の生活に支障をきたすことで入居者の不満も募りクレームやトラブルの原因になります。
設備の故障や不具合による入居者からのクレーム増加
<具体例>
・エアコンが故障したり、水漏れが発生したりすると、入居者からクレームが寄せられる。
・クレーム対応が遅れると、入居者の不満が増大する。
<対策>
・定期的な設備点検を行い、故障や不具合を未然に防ぐ。
・24時間対応の管理会社に委託するなど、迅速なクレーム対応体制を整える。
対応の遅れは、入居者の不満を増大させ、退去につながる可能性も
<具体的な例>
・クレーム対応が遅れると、入居者は不満を募らせ、退去を検討するようになる。
・退去者が増えると、空室期間が長引き、収益が悪化する。
<対策>
・入居者とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を築く。
・入居者のニーズを把握し、満足度の向上に努める。
資産価値が下がるリスク
築古物件になると、デザインや間取り、設備機器が今のニーズとミスマッチとなり建物の魅力は低下します。そうなると、家賃の下落や空室が増加し、賃貸経営が悪化するリスクが高まります。では、想定されるリスクについて具体例とその対策を見てみましょう。
家賃の下落
競合物件の増加に伴い、築古物件の魅力が薄れ、資産価値も低下し空室リスクが高まります。そのため、満室にするために家賃を落とさざる負えなくなり、収益性が悪化し賃貸経営に悪影響を及ぼします。
周辺の築浅物件との競争に負け、家賃を下げざるを得ない状況に
<具体的な例>
・築浅物件は、設備が新しく、デザインも魅力的であるため、高い家賃でも入居者が集まる。
・築古物件は、家賃を下げないと、入居者が見つからない。
<対策>
・競合物件との差別化を図るため、リノベーションやリフォームを行う。
・家賃以外の付加価値(例えば、清掃サービスやセキュリティ対策)を提供する。
収益性が悪化し、経営を圧迫
<具体的な例>
・家賃収入が減少すると、ローン返済や管理費用の支払いが困難になる。
・修繕費用が増加すると、さらに収益性が悪化する。
<対策>
・収支計画を見直し、無駄なコストを削減する。
・空室対策や家賃交渉など、収益改善のための対策を講じる。
空室の長期化
建物や設備が古くなればなるほど、魅力が薄れ入居希望者が減少し、空室期間が長期化する可能性が高まります。
設備の老朽化やデザインの古さから、入居希望者が減少
<具体的な例>
・古いタイプのエアコンや給湯器は、電気代やガス代が高く、入居者に敬遠される。
・時代遅れのキッチンやバスルームは、使い勝手が悪く、入居意欲を低下させる。
・壁紙や床材が古く、室内が暗く見えると、清潔感に欠ける印象を与える。
<対策>
・最新の省エネ設備に交換する。
・デザイン性の高いリフォームを行い、室内の印象を明るくする。
・ターゲット層に合わせた内装や設備を導入する。
固定資産税の増加
通常、建物は経年劣化により、評価額が下がっていきます。そのため、築古アパートの場合、建物の評価額は新築時に比べて低くなり、固定資産税も減少していく傾向にあります。しかし、「特定空き家※」に指定された場合は、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が大幅に増加する可能性があります。
では、具体的な事例と対策を見てみましょう。
特定空き家に指定される
<具体的な例>
・建物の老朽化が進むと、倒壊や外壁の剥離などの危険性が高まり、特定空き家に指定されるリスクが高まります。
・適切な管理が行われていないと、ゴミの不法投棄や害虫の発生など、衛生 環境が悪化し、特定空き家に指定されるリスクが高まります。
<対策>
・定期的なメンテナンス:定期的に建物の点検や修繕を行い、老朽化の進行を抑えることが重要です。
・適切な管理:定期的な清掃や除草を行い、衛生環境を維持することが重要です。
・活用:賃貸物件として活用したり、リフォームや建て替えを検討するなど、空き 家を放置しないことが重要です。
法的責任の問題
放置された空き家に対して、自治体から指導や行政代執行が行われる可能性があります。また、 ゴミの不法投棄、騒音、悪臭など、周辺住民とのトラブルに発展したり、放置された建物から第三者に損害が発生した場合、損害賠償責任を問われる可能性があります。具体例と対策を見てみましょう。
建物の管理責任を問われる可能性も
<具体的な例>
・建物の老朽化が原因で事故が発生した場合、所有者は管理責任を問われる。
・特定空家等対策特別措置法に基づき、自治体から指導や行政代執行を受ける可能性がある。
<対策>
・定期的な建物点検を行い、適切な維持管理を行う。
・専門家(弁護士、税理士など)に相談し、法的リスクを把握する。
まとめ
築古アパートの放置は、上記のような様々なリスクを招き、大切な資産を失うことにつながりかねません。早期に対策を講じることで、これらのリスクを最小限に抑え、安定した賃貸経営を継続することが可能です。
そのためには、オーナー自らがアンテナを張りめぐらせて貪欲に情報収集をする意識が必要です。そして、信頼できる業者や専門家を見つける行動力も必要です。
弊社は、築古アパートに関する相談も承っております。相談は無料ですのでどうぞ、お気軽にお問い合わせください。
▼お問い合わせのはこちらよりお願いいたします。
https://www.prima-apartment.com/kobetsu-soudan/
特定空き家とは※
「特定空家」とは、放置すると以下のような状態になる空き家のことです。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・周辺の生活環境の保全上不適切である状態
・周辺の景観を損なう状態
✅「特定空き家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大で6倍になることがあります。
引用元:「空き家対策措置法により固定資産税が6倍になるって本当ですか?」日本NPO法人空き家・空地管理センター
参考文献:「特定空き家とは?」日本NPO法人空き家・空地管理センター

古川 健一

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