「リフォームにお金をかけて」~がんばれ、大家さんVol.9

「女房と畳は新しいのが……」なんて昔の人は言いました。もちろん今の人はそんな失礼なこと、思っていても口に出しては言えません。でもそれは女性の側にも同じこと。男性も若い方がいいに決まっています。
アパートだって、常に新築に人気が集まるのは当たり前! と言ってしまえばそれまでです。アパートは建ててからが勝負です。
10年、15年そして20年以上と経過していくときに、しっかりお客様に入居し続けてもらえるかどうかが重要なのです。

消耗度はマイホームより高い

建てて10年間は修理代がほとんどかかりません。でも10年経過する頃には外部や内部に汚れや傷みが出てきます。15年も過ぎると設備にガタが出てきます。当然です。建物が最初の投資だけで終わることはないのです。
人間だって中年を迎えれば身体のどこかに故障がでてきます。自動車も3年、5年と車検があり法定検査が必ずあります。ましてアパートは多くの人に利用され、その消耗度はマイホーム利用より高くなります。

古いアパート

 

早期治療で元気な働き手に

大家さん、アパートの修理、手入れ、リフォームを積極的にどんどんやってください。何も手を加えない、なおざりにしか修理しない大家さんは、結局大きな損失をしてしまいます。
もし大家さんが歯が痛くなって、病院にも行かずに治療をしなければ、食べ物をおいしく食べられずに、さらにはいずれ胃を痛め、最後は病気になって、取り返しがつかなくなってしまうことでしょう。そんな人はいませんよね。
アパートも同じこと。傷み、傷がつき、色あせて、さらに古くなっても、早期に治療すれば必ずや治療され、また元気になって立派に働きます。

 

「再生」投資で付加価値を高める

でも、修理や手入れだけでは、原状に戻しただけで、元の姿になっただけです。リフォームだけでは、物足りません。リニューアル、リノベーション(生まれ変わる、「再生」する)という、より積極的な投資もあります。欧米の投資用不動産はこの再生投資が頻繁に行われます。建物が木造でも築50年60年は当たり前というのも、分かる気がします。建物の築年数を重ねることにより、味わいが深まってくるのです。

「理屈は分かるけどリフォームにはお金がかかるよ。それにお金をかけても元が取れるか心配だよ」と、大家さんの本音が聞こえてきます。でも、お金をかけずに人気が衰え、空室のリスクが生じたら、元も子もありません。
例えば家賃月額10万円の部屋が1年間空室となれば、120万円の損失です。さらにもっと空室が増えたら損失が拡大します。仮に200万円かけて、空室が埋まれば20ヵ月で回収できて、さらにその後の収入が確保されます。

大家さん、汚い食堂に入りますか? 安いからといってまずい食事で満足しますか? そんなお客さんは今どきほとんどいません。
大家さん、畳はいつも新しくしておきましょう。人間だって、常に健康に気遣っていれば、明るく楽しく暮らせるものです。
アパートをいつも健康にしておきましょう。きっとしっかり稼いでくれることでしょう。

畳の部屋を歩く猫

 

 

 

 

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本郷 尚 (ほんごう たかし)

税理士・本郷尚 日本における資産税の第一人者として、相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心に活躍。各方面で講演・執筆等行い、著書も多数。株式会社タクトコンサルティング会長。 https://www.tactnet.com/