大家さん自身が丈夫で長生きするのはもちろんですが、それ以上にアパートが長くしっかり稼いでくれたらお家は安泰です。
「アパートがそんなに長く持つのか?」「せいぜい長く持ったところで、ローンが終わるころまでぐらいではないのか?」
とすると、木造で20~25年、鉄筋で30~35年ぐらいですか。それでは短いのです。もっともっと長くしっかり稼ぐようにしてください。
欧米では、建物を木造で50~70年、鉄筋で100年以上は十分利用していますよ。元々、欧米では土地でなはくて建物に価値を置いています。
日本では土地に価値を見ていて、建物の価値をほとんど見ていませんでした。しかし、これからは違います。日本でも建物の価値を見直し、とりわけ、アパートのような収益を上げる建物は、長くしっかり稼がせることがポイントになってきています。
リフォームでピンチをチャンスに
Aさんは60歳、5年前に両親を亡くし、本人も定年を迎えました。二次就職はしましたが、これからの本業は両親から相続したアパート(10室)です。家賃は月額約80万円ですが、まだ少し借入金が残っており、返済が月額15万円ありました。
アパート(木造)を立ててから15年を経過したところで、今まで社宅として借りてくれていた会社がリストラのために出ていってしまいました。これは一大事と一瞬驚きましたが、そこはAさん、元々商社マンです。ピンチはチャンスとばかりじっくり考えました。ここは思いきって建て替えるかそれともリフォームするかを、じっくり専門家と相談しました。
結局、建て替えは本体がまだ十分利用できる状態なのでもったいない。幸い構造がしっかりしているので、リフォームをすればこれからさらに20年以上は十分稼げるとのこと。何しろアパートは駅から徒歩5分と利便性が抜群に良いのです。Aさんは思いきって自分の退職金から1,000万円をつぎ込んで、修理ではなく改築をしてしまいました。外壁を塗り替え、1階には大きくウッドデッキを出し、2階もベランダを広げ、床は全部フローリング、トイレと風呂も取り替えてしまいました。外から見ればまるで新築したかのようです。
人気は抜群です。家賃も2割アップしました。月額20万円の収入アップということは、今回の投資額1,000万円の投資利回りが単純にみて年24%ということです。元商社マンのAさんは十分承知のうえです。何よりも「これでしばらくは、市場で優位に立てる」と考えました。
アパートはしっかり稼いでくれる財産
Aさんは亡父からいつも聞かされていました。「アパートを大事にしろよ。わが家の一番の財産だからな。この稼ぎで兄弟に何かがあったら助けてやれよ」。さらに亡父は、いつも口癖のように「アパートには手をかけろ、最も効率の良い投資になるからな」と言い続けていました。息子のAさんは、今その言葉を実感しています。
本郷 尚 (ほんごう たかし)
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