「空室対策5つのポイント<パート3>」~がんばれ、大家さんVol.23

〔5〕家賃は適正か

空室対策5つのポイントの5番目は、最も大事な「家賃は適正か?」ということです。
もちろん、前回までにお話しした
①建物の魅力
②間取りがニーズと合っているか
③設備が充実しているか
④募集の仕方
等々を十分考慮してから、家賃が適正かどうかを検討します。やみくもに家賃を下げても、お客様には“食べたくない食事”。いくら安くてしも振り向きもしないのですから。
家賃を下げることに大家さんは不安になります。「以前から入居している人とのバランスが取れなくなる」「経営的に大丈夫なのか?」「もう少し様子を見て、従来の家賃で入居してくれる人が来るまで待つか……」
いろいろ心配する気持ちは分かりますが、一番大事なことは空室の期間をなるべく短くすることです。家賃を下げてでも部屋を埋めるべきでしょう。
場合によっては、入居時の権利金、保証金、仲介料を大家さんが譲歩してでも契約にこぎつけることです。すでに郊外や地方では「すべてゼロ」のアパートが出てきています。
それどころか、「フリーレント」、つまり当初の1~3ヵ月は家賃ゼロというのもあります。ビル経営ではすでに多数出ています。まさに入居者をいかに確保するかの誘導型オンパレードです。「そこまでしなくては入居者を確保できないのか?」と大家さんは不安になります。

 

満室カフェ 家賃の悩みイメージ

 

飛行機、ホテルもいまや定価は……

話は変わりますが、私は時々地方へ行くのに飛行機に乗ります。いまや飛行機の運賃は千差万別です。ファーストクラス、定額、早割り。特割、団体割引等々ですから、定価はあってないようなものです。しかも堂々と会社が売り出しています。この点について、お客様は別に文句は言いません。自分の選択で切符を購入しています。会社側は何としても空席を埋めたいのです。空席では一銭にもならないからです。
一方、ホテルも同様です。当日申し込んでオーケーならば、部屋代は交渉に応じてくれます。しかも交渉オーケーはホームページ上に堂々と表示しています。一流ホテルも例外ではありません。空室であれば、その部屋の料金は永久に回収できないからです。

空室による機会損失は取り戻せない

大家さん、飛行機もホテルも実はアパートも同じなのです。空室による機会損失は取り戻すことはできないのです。家賃を下げてでも、入居時の一時金を負担してでも、お客様を確保することが大事なのです。
家賃10万円を9万円にするかどうか、もし10万円のまま譲歩しないで空室が2ヵ月続いたとします。失った2ヵ月分(18万円)は永久に帰ってきません。仮に10万円で入居者がその後にいたとしても、回収には1年6ヵ月はかかります。既存のお客様から「自分のも安くしてくれ」と言われたら、次の契約更新時に対応すればいいのです。「安くしないと出ていく」なんて言われてしまうことはないでしょう。なぜなら、お客様も退出するには費用と手間がかかるからです。

飛行機のシート

 

 

 

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本郷 尚 (ほんごう たかし)

税理士・本郷尚 日本における資産税の第一人者として、相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心に活躍。各方面で講演・執筆等行い、著書も多数。株式会社タクトコンサルティング会長。 https://www.tactnet.com/