最近目につく広告に、「アパートに投資しませんか」というチラシがあります。一般的ではありませんが、あるレベル(高額所得者、資産家向け)の方々に配布されてきました。「自分には来ないな」なんてひがまないでください。まずは買いそうな人を選んで郵送しています。この場合の投資額は、土地+建物=アパートです。
不動産の価値は収益還元法で決まる
従来の「アパートを建てませんか」ではありません。「アパートを買いませんか」というのですから、少しニュアンスが違います。どう違うかというと、ポイントは「利回り」です。例えば、このアパートの年間の家賃合計額は500万円で、投資額(買う価格)は5,000万円ですから、利回り10%です。現在満室です。中古も新品もあります。
そして、最寄り駅より何分、建物の築年数、間取り、土地と建物の広さが明示されています。ここでは土地が坪あたりいくら、建物が坪いくらかは重要ではないのです。土地と建物の合計金額は、あくまでその不動産から生まれてくる「収益力」が元となって算定されています。概ね利回りは10%を基準にしています。専門的に言えば、不動産の価値は「収益還元法」によって決められているのです。従来の土地がいくら、建物がいくら、よって合計いくらという「原価積算法」ではないのです。
売買価格は収益還元法で算定される
「そんなもんか。でも自分には関係ないよ」「だって自分のアパートを売るわけではないし、自分が他の人のアパートを買うこともないから」と言われてしまえば、そのとおりなのですが、ここではアパートの客観的または市場の評価は、すでに収益還元法によって決められていることを、大家さんにはぜひ知ってもらいたいのです。仮に大家さんが知っていてもいなくても、アパートの売り買いはこの基準で算定されてしまいます。アパートの収益力が低ければ、建物を取り壊して土地だけの価値で売ることもあります。
発想の転換でアパート投資市場の研究を
こうしたアパートは何かの事情で売ったのでしょう。そのときに、業者は収益力をプロの目で見て仕入れたのでしょう。そして、資産家や投資家に向けて、利回りを提示して投資商品にしました。投資する人は、利回りの内容、アパートの立地、建物の中身を十分検討して購入を決めたのです。ここは、従来の地主さんが、自分の土地にアパートを建てるのとは、根本的に異なる発想で投資しています。
今までの大家さんは、土地があるからアパートでもやってみるか、という「デモシカ」経営です。投資家のアパートへの投資は「これなら儲かる」という発想です。投資家はチャンスと見るや、転売も十分視野に入れて投資します。まさにプロとアマチュアの違いがあるかもしれません。大家さんだって長年アパートの経営をされてきました。新参者に負けてなるものかと思うのであれば、買うかどうかは別として、ぜひこの機会にアパート投資市場を研究してみてください。きっと何かの刺激を受けることでしょう。
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本郷 尚 (ほんごう たかし)
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