昔、「アパートの鍵貸します」なんて意味深なタイトルの映画がありました。内容は期待(?)に反してコメディーでした。名作でしたから、大家さんもきっとご覧になったことでしょう。
映画を見て、欧米のアパートが立派な建物であることに驚きました。それにひきかえわが国のアパートは貧弱ですね。何でも欧米がいいというわけではありませんが、家やアパートとなると、欧米と比較して日本のレベルは格段に落ちてしまいます。
日本にももっともっと「いい建物」がたくさん出てきてもらいたいものです。
確かに“土地があるから地主”ですが……
さて、今回は「アパートを売ります」という話です。
本来大家さんは、土地やアパートを売ることはほとんどありません。なぜなら、土地を守るためにアパートを建てたのですから、売るという選択はないはずです。それにもともと大家さんは地主さんですから、「地主は土地を守っているから地主なのだ」、当然です。売ってしまえば、タダの人どころか、「あの人はとうとう土地を売ってしまったよ」と言われることが死ぬほどつらい……。
よって、損得で土地やアパートを売ることはしません。売るときは、相続税を支払う、相続で財産分けをするとき、または保証人や事業の失敗、等々のやむを得ない理由で売ることしかありません。
土地から解放されて自由になる人も
しかし、最近、こうした消極的な売りばかりではなく、積極的に売る人が出てきました。「本当か?」「都会の人でしょう」「今の若い人なら、そんなことするかもしれないな」「売るというけど、借家人がいたままで売れるのですか?」という声が聞こえてきます。
実はこれは、ここ2~3年の私の周りの動きです。55歳~70歳代のいわゆる中高年の人たちからです。いわく、「持っているのが面倒くさい」「修理や手間がかかるので、これから先またお金をかけても仕方ない」「子供に残す? たぶん子供も喜ばないでしょう」。さらには、「もうそろそろ、所有から解放されて自由になりたいよ」という本音が聞こえてきます。
お金に換えてその後どうするのか、特別何かを考えているわけでもないのです。一見無責任のようですが、守ることには執着していないようです。財産を所有し続けることより、自由にお金が使えることに価値を置いているようなのです。
夫は老いて女房に従う
こうした考え方をする人は、一般的には女性に多く見られます。男性は世間体や残すことにこだわりが強いのですが、女性は案外あっさり「売り」を決断する人が多いようです。
このあたりは男の価値観と女の価値観の決定的な違いかな、という気がします。しかし、「老いては女房に従う」こととなり、結局売ることになるのです。
財産を自分で築いた人、定年後しばらく経過した人、親から財産を相続した人、等々の人たちの中から、財産を残すのではなく「財産を自分のために使ってしまいたい」と思う人が出てきたのでしょう。
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本郷 尚 (ほんごう たかし)
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