「新税制で家づくり、幸せづくり」~がんばれ、大家さんVol.43

平成24年の税制改正法案では政府も思い切ったことをしたものです。父母・祖父母などから子・孫などへ住宅資金の贈与を「1,000万円(ただし24年中、25年中は700万円、26年中は500万円〈注〉)」まで、贈与税を免除する非課税制度を拡充しました。まるで加藤茶みたいに、「たまにはババーンと」やってくれました。ただし平成26年末までの時限立法です。
大型の贈与ができれば、普通の家はほとんど無税で購入できます。景気浮揚策の切り札を切りました。しかも相続税の計算上、まったく加算されないため減税にもなります。もちろんこれは、贈与してくれる親のいる恵まれたお子様(?)だけですが……。

相続時精算課税制度も検討しよう

贈与税では「1年間110万円まで」という非課税制度の他に、選択制ですが「相続時精算課税制度」も利用することができます。
この制度は、65歳以上の親が20歳以上の子に贈与をしても2,500万円(住宅資金も2,500万円・親の年齢制限はナシ)までは、贈与税は非課税とします。非課税金額を超えた金額に対しては、20%の税金を課祝します。例えば3,000万円贈与した場合、この制度を選択すると、3,000万円-2,500万円=500万円×20%=100万円の贈与税になります。
ところでこの制度は、相続時点でこの贈与した3,000万円は持ち戻して、相続財産に加えて、あらためて相続税を精算課税します。そのときにすでに支払った上記の贈与税100万円を相続税から差し引くわけです。
いわば、贈与された財産を相続の時点で引き戻して、支払った贈与税は相続税の概算払いにしているわけです。

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贈与すれば“生き金”、抱え込めば“死に金”

ややこしい話はこのぐらいにして、親から子への一般贈与は2,500万円、住宅資金でも2,500万円まで贈与税が課税されないのですから、子供たちにどんどん贈与してください。仮に住宅ローンで苦しんでいる子に対して、親がドーンと返済を肩代わりしてあげても、この制度や非課税制度(前記)を使えば贈与税の心配はいりません。
こうしてお金持ちの親が、貧乏な子に財産を生前に早く贈与してあげます。子は本当に助かります。相続まで待てないのです。親が長生きすると、いつまでもいただけないものですから。
子は早く贈与されると、きっと親に感謝します。「あげたはいいけど、しばらくするとありがたみが薄れてしまうかも……」なんて考えることはありません。
親のお金で家が建ち、ローンがなくなれば、子や孫の生活はぐっと楽になります。そうすれば、いつも「お父さん、お母さん、そしておじいちゃん、おばあちゃん、ありがとうございます」と言って、何度も遊びにきてくれますとも。
高齢者がお金を大事にする気持ちは分かりますが、ずっと抱きかかえていたのでは「死に金」になり、子へ贈与して子の家族が幸せになれば「生き金」になります。
もし、しばらくして子の感謝の気持ちが薄れ、「行き金(行っただけで生かされていない金)」になるようでしたら、私がお子さんに説教しますから、ご一報ください。

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〈注〉所定の省エネ住宅または耐震住宅を取得する場合は、24年中は1,500万円、25年中は1,200万円、26年中は1,000万円。なお、東日本大震災被災者が受贈者である場合には、通常の住専を取得する資金の非課税枠は26年末まで1,000万円(所定の省エネまたは耐震住宅を取得する場合は1,500万円)となる。被災者以外の受贈者が取得する住宅の床面積は50㎡以上240㎡以下とされる。

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本郷 尚 (ほんごう たかし)

税理士・本郷尚 日本における資産税の第一人者として、相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心に活躍。各方面で講演・執筆等行い、著書も多数。株式会社タクトコンサルティング会長。 https://www.tactnet.com/