法人として加入する保険の活用について、以前に100歳までの長期定期のご説明をしました。法人税の基本通達変更後も長期定期については、企業の基本となる保険として考えて下さい。
しかし、基本通達変更後は、100歳未満の定期保険は、加入目的によって選択が難しくなりました。それは、下記の表にあるように最高解約返戻金率によって経理処理が違うからです。
過去から変わっていないのが、保障重視の解約返戻金が無い定期保険。もしくは最高解約返戻率50%未満の生命保険です。これらは全額損金です。保険料が安い保険として債務保障や事業保障として保障が必要な場合に活用して下さい。
最高解約返戻率が50%超、70%超、85%超の主に積立を組合せた場合には、税の繰り延べ効果を活用しながら何年先に最高解約返戻率を持ってくるのかによって保険期間が大きく変わってきます。また、これらの税務には配当を含んでいません。よって、有配当保険と無配当保険を比較することも重要になってきます。
最高解約返戻率5年後、8年後、10年後、15年後、20年後など試算が必要になります。その上で数社の設計書を比較して加入する必要があります。
修繕費の積立や不動産購入の頭金として、退職金積立として、緊急資金として利益の繰り延べは有効に活用して下さい。
続いては逓増定期。経営者の皆さんにはいちばん馴染みやすい保険ですね。
文字通り、保障額がどんどん増えていく保険です。
この保険は、年齢が高い人ほど解約返戻金が伸びます。
昔は中小企業で定年間近な方々が加入する、退職金目的の保険でした。
最近では、修繕費の積立に使われる場合が多々あります。
こちらも短期の安定、安心が目的です。
利益の繰り延べ、万が一の資金繰り、赤字決算対策、修繕費、事業承継という形で活用されています。
定期保険選択のポイントは、目的を明確にすること
以前にご説明した長期定期、そして今回ご説明した平準定期と逓増定期。
これらは、法人として活用できる定期保険です。
ところが保険会社は数十社あり、さまざまな保険商品があります。
複数の保険から、有益な保険を比較選択するのは非常に難しいというのが現実です。
有効活用できる保険を選択するポイントは、目的を明確にし、保険の特徴をきちんと把握すること。
もしかしたら途中で目的が変わることがあるかもしれません。
その場合は、個人の保険にシフトできる応用性も必要です。
また賃貸経営をされている場合は相続問題もありますので、相続に役立つかという点も考慮する必要もあります。
すでに加入している保険の見直しを含め、目的にあった保険を選んで、賢く備えて有意義に活用してください。
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川西 こうじ
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