今回は閑話休題、女性の大好きなダイヤモンドのお話です。
奥様の長年の苦労に報いよう
結婚50年といえば「金婚式」です。78歳になる田中さんは長年連れ添った奥様に何かプレゼントしようと考えました。田中さんが考えても分からないので、奥様に「何か欲しいものがあったら自分で買いなさい」と言って、奥様にぽんと500万円の預金通帳を渡しました。奥様はびっくりしましたが、何だかとってもとっても嬉しくて天にも昇る気持ちになってしまいました。長年の苦労が報われたようでした。
70歳になる奥様はとてもおしゃれな方です。さっそく娘さんとデパートに行き、前から欲しかったダイヤの指輪を買いました。奥様と娘さんにとって、500万円のダイヤの指輪は毎日毎晩眺めても飽きない、それはそれは大切な宝物となりました。
もちろん、娘さんはいずれ自分のものになりますし、使いたいときにはちょっとお借りしますというわけですから、喜びは二重になりました。
まさにダイヤの指輪は田中家の「お宝」となりました。ご主人の田中さんの株は一気に上りました。本人はテレていましたが、内心は「生前にあげて良かった」と、つくづく思いました。
宝石には贈与税も相続税も課されない?
ところで、この500万円の指輪は贈与税が課税されるのでしょうか? 金婚式の記念のプレゼントに贈与税を課税するなんて、そんなヤボなことはしません。
「でも金額が500万円でしょ、大丈夫ですか? もし3年以内に夫が亡くなれば、やはり贈与がなかったものとして、相続財産に取り込まれてしまうのではないでしょうか?」
心配ご無用です。なぜならダイヤを買ったときの金額は確かに500万円ですが、買った瞬間にお金が物になってしまい、市場価値は残念ながら暴落してしまいます。500万円は売り値であって、中古で売ろうとすると、?? になってしまうのです。
あるベテラン税務職員のつぶやきを紹介します。
「1,000万円以下の宝石は、装飾品です。財産として課税することはほとんどありません」
何だか安心しますが、半面がっかりもします。
何はともあれ宝石には贈与税や相続税はほとんど課税されないので、ご主人は安心して奥様に高価な宝石をぜひプレゼントしてあげてください。きっときっと大喜びしてくれますよ。
ただし、奥様以外の女性に宝石をプレゼントすると、後でバレたときに税金以上に高いもになることを、覚悟しておいてください。念のため。
本郷 尚 (ほんごう たかし)
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